【体験談6】出席簿

小学校の校庭開放日で校舎もあいていました。教室に忘れ物した友達はこの機会を逃すまいとぼく達をさそい、晩冬の夕方に幽々たる廊下をわたって予定を完成させました。のちに一行は出口の玄関にむかう中途で開き戸が全開の教室をとおりました。

ぼくはなんとはなしに暗い教室に眼を凝らすと、教壇に出席簿がたっていました。しかもそれは児童達の方へ斜め立ちしているにもかかわらず、誰一人さわぎません。この場に立ち止まりながら眼の錯覚かしらと考えあぐねるうちに先ず、そばの者が悲鳴をあげ、大なる声につられて残された者も駆けだし、肝であるイタズラの仕掛け人のみ行方知れずとなれり。

【付言】

件の数週間前に風邪をこじらせて亡くなる児童があったと親に聞きしことあり。